契約直後に相続発生<令和元年10月>
夫名義の自宅を売却し、夫婦でシニア住宅に入居する予定でした。夫は売買契約の手付金を受け取りましたが、残りの代金を取得しないまま亡くなりました。売買契約は無効ですか?相続人は私1人です。
売買契約は有効です。契約の履行義務は相続人である奥さまに承継され、決済金を取得することになります。
相続税の計算はどうなりますか?
残代金請求権(未収入金)が相続財産となります。なお、手付金はすでに現預金として相続財産に含まれています。
自宅を売却すると譲渡所得税が発生すると聞いていますが?
契約日か引渡日(残代金の決済日)のいずれかを選択することができます。契約日を選ぶ場合はご主人の申告、すなわち死亡してから4カ月以内に行う準確定申告となります。引渡日を選ぶ場合は、奥さまの確定申告です。
税金面ではどちらが有利ですか?
有利不利は一概に言えませんが、次のことを念頭に検討してください。ご主人の申告は①居住用財産の3千万円控除、軽減税率の適用が可能②住民税は、翌年1月1日に生存していないため、課税なし③譲渡所得税は相続税の債務控除対象、となります。一方、奥さまの申告は①前記のご主人と同一適用②住民税の課税あり③譲渡所得の計算上、相続税の取得費加算の特例が可能、となります。
(東京地方税理士会・平山紀美子)
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