セミナー 暮らしと税

土地の名義変更と税金(令和3年4月)

 息子が家を建てることになりましたが、私名義の土地を無償で名義変更した場合どのような税金がかかってくるのでしょうか。

 無償でお父さま名義の土地を息子さまに変える場合、贈与となり一定の場合に贈与税がかかります。まず贈与者(父)と受贈者(息子)が贈与契約書を作成します。法律では口頭でも贈与は成立することになっていますが、書面を作成しないと後々、名義変更登記や贈与税の申告の手続きができませんので、贈与契約書の作成が必要です。

 無償で財産をもらった場合、贈与時の価額に対して贈与税がかかる場合があります。贈与された土地の価額から基礎控除額(110万円)を控除した残額に応じた税率で贈与税額を計算します。土地の価額とは贈与時の時価とされています。実勢価格などとは異なり、税法で定められた一定の方法で評価した金額になるので注意が必要です。

 贈与で土地を取得した人には、贈与税以外に不動産取得税もかかります。ただし今回のケースは住宅用土地の贈与であるため、減額の要件に該当する場合は不動産取得税の減額措置が受けられますが、手続きが必要です。

 土地の名義変更をせずに、息子から地代の支払いを受けないまま家を建てることはできますか。この場合、贈与税はかかりますか。

 土地を貸し借りする場合、借り手は地主に対して地代を支払います。しかし、親の土地に子が家を建てたときに地代や権利金を支払うことは通常ありません。このように地代も権利金も支払うことなく土地を借りることを土地の使用貸借といいます。

  親の土地を使用貸借して子が家を建てた場合、土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われ、贈与税の課税はありません。使用貸借されている土地は、将来親から相続するときに相続税の課税対象となります。価額は親が自分で使っている土地として評価され、貸宅地でなく「自用地」としての評価額になるので注意が必要です。

  詳しくは税理士にお気軽にお問い合わせください。

(東京地方税理士会山梨県会・飯島正樹)

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